成年後見制度の活用方法

加齢が進むにつれて自己の行動をコントロールすることが難しくなる方々が多いです。そして、自己の行動ををコントロールすることが常にできなくなってしまえば、自己の保有する財産を管理することができず、財産の散逸を招いてしまいます。そのような事態を防止するために、成年後見制度があります。この制度は、精神上の障害により常に自己の行動をコントロールできなくなってしまった方に対し、裁判所が選定した成年後見人と呼ばれる方に自己の財産の管理及び成年被後見人の法律行為の代理行為及び法律行為の同意を行います。これにより、成年被後見人となった方の財産の散逸をできるだけ防ぎます。もっとも、成年後見人は確かに裁判所によって選ばれた人間ではあるのですが、裁判所は候補となった人間が法定欠格事由(未成年者または破産して復権を得ないもの)に当たるか否かだけしか判断しません。

そのため、候補となった人間が本当に誠実に保有財産を管理してくれるのかは保証できないというのが現実です。そして、実際に成年後見人となったものによって成年被後見人の保有財産を着服したり無断で使用したりする事例が多数存在します。これに対しては、裁判所が成年被後見人の財産目録の作成を成年後見人に対して義務付けていますが、作成義務があるのは就任した時だけで、毎年行うわけではないので実質的に成年後見人の犯罪行為への対策とはなっていません。そのため、従来の成年後見制度は危険な制度であると評価されてきました。そこで、民法改正に伴い新しく新設された制度として成年後見監督人制度がつくられました。この制度は成年後見制度だけでは防ぎきれなかった成年後見人の犯罪行為に対抗すべく、成年後見人の法律行為を厳正にチェックする権限を有する成年後見監督人を裁判所がさらに選定するというものです。具体的には成年被後見人の有する重要財産(不動産や船舶などの一般的価値の高い物)に関する処分については成年後見人が単独でこれを行うことができず成年後見監督人が同意しなければできないとし、また成年後見人の行為について報告を求める権限を持っています。

成年後見監督人は通常信託銀行や信用金庫などの信頼性が高くまた公平性を有する法人が就任するので、この者が何らかの犯罪行為を行う危険性は低いと言えます。そのため、成年後見制度を活用するために、成年後見人だけでなく成年後見監督人の選定を同時に行うべきです。